プリュムティについて
プリュムティ刺繍は、19世紀末から20世紀初頭のフランスで愛された白糸刺繍のひとつです。
当時のフランスでは、少女が10代の頃から「トルース(trousseau)」と呼ばれる結婚支度を少しずつ作り始めました。
これは、結婚後の生活に必要なリネン類を自らの手で整える伝統で、シーツ、ナイトドレス、テーブルリネン、ハンカチなどです。
白い布に白い糸で刺すプリュムティは、このトルースの中でも特に人気の高い技法でした。
理由は、“清らかさ・誠実さ・家庭を守る力” を象徴する白が、花嫁の品格を表すと考えられていたからです。
また、当時の女性にとって刺繍は「教養」であり「家庭を築く力」の象徴でもありました。
丁寧に揃ったプリュムティは、花嫁の几帳面さや優しさを示すものとして、義母や親族からも高く評価されたのです。
トルースが持つ祈りのような意味
そして、ひと針ひと針に、 「幸せな家庭を築けますように」 という願いが込められ、母から娘へ、娘から孫へと受け継がれていきました。
プリュムティ刺繍が今も心に響くのは、こうした静かな祈りと物語が、白い布の奥にそっと息づいているからだと思います。
私がフランスでプリュムティを習い始めたのは2012年でしたが。当時の日本にはまだこの刺繍を表現する言葉はありませんでした。悩みながら、ふとテキストに目をやるとそこには『Plumetis avec Veronique』の文字が。そういえばプリュムティ!その響きのかわいらしさに心惹かれたことを思い出しました。
日本でお教室を始める時、この名前を使い始めました。フランスの膨らみのある刺繍ーそれがプリュムティ刺繍。少しづつ広まり、今ではすっかり定着していることをとても嬉しく思います。歩みは決して早くありませんが、コツコツ静かに積み上げていきたいと思っています。
